【ハーブの神話・伝説①】『ハンガリーウォーター』と女王

さて、古代から続くハーブの歴史には、実話だけでなく、たくさんの神話や伝説が残されているのをご存じでしょうか?今回は、その中でも有名なエピソード、『ハンガリーウォーター』をご紹介します。

目次

『ハンガリーウォーター』の誕生秘話

古代のハーブの歴史の中で、美しさと魅力で知られるクレオパトラもハーブを愛用していました。さらに、中世でも貴婦人たちは美しさと健康を保つために多くのハーブを美容に使用していました。

その中でも有名な逸話がハンガリーで起きた『ハンガリーウォーター』です。

ハンガリー女王:エリザベートの苦悩

この出来事は1370年代頃に起きたと言われています。
ハンガリーのエリザベート女王は70歳の頃、リウマチを患ってしまいます。そこで、彼女は多くの名医や修道士による治療を受けましたが、いずれの方法も効果はありませんでした。そのため、彼女は苦しみ続けていました。

女王の苦悩

ハンガリーウォーターの登場

このような状況の中で、修道士たちは新たな治療法を模索し、自然界からの力を借りることに決めました。
彼らは、古代から伝わるハーブの知識を基に、特別な薬用水の調合を考案しました。

これが後に「ハンガリーウォーター」として知られることになります。ハンガリーウォーターの誕生です。

ハーブを調合した化粧水

ハンガリーウォーターの奇跡

ハンガリー王妃の水

女王は、これを入浴や洗顔などに外用したところに症状が回復。さらに、リウマチの症状が劇的に改善され、健康を取り戻したと伝えられています。

そして、女王が再び活動的になり、若々しさを取り戻したことで、この奇跡の水は「ハンガリー王妃の水」とも呼ばれ瞬く間に評判となり、ヨーロッパ中に広がりました。

ハッピーエンド

こうして健康と美しさを取り戻した女王は、72歳の時、隣国ポーランドの若き王から求婚されました。そして、二人は生涯を共にしたと伝えられています。

ハーブ化粧水で結ばれた二人

ハンガリーウォーターはその後、長い年月を経て香水としても広く愛用されるようになり、現代に至るまでその影響を残しています。

現代的におけるハンガリーウォーターの使い方

アロマテラピーでの応用: 現代では、ハンガリーウォーターの成分を使ったエッセンシャルオイルがリラックスやリフレッシュのために使用されています。

スキンケアへの応用: また、ハンガリーウォーターは、スキンケアにおいても利用され、その抗酸化作用とリフレッシュ効果が注目されています。

ハンガリーウォーターのレシピ

女王に献上されたというハンガリーウォーターのレシピと作り方がウィーンの図書館に保存されています。以下が、そのレシピと言われています。

  • ローズマリーの葉    大さじ3杯
  • バラの花        大さじ3杯
  • ミントの葉       大さじ3杯
  • おろしたレモンの皮   大さじ1杯
  • オレンジ水       蒸留水150ml
  • ウォッカ  150ml

これらをよく混ぜ、2週間冷暗所に置き、モスリン*の生地で濾過します。そして、それを更に2週間熟成させると完成です。
                               *モスリンとは木綿や羊毛などの梳毛糸をの平織りし薄地の織物です。


この誕生秘話は、単なる薬用水の作成だけでなく、自然療法の可能性と、人々が持つ健康への願いが結びついた物語としても語り継がれています。

ハーブを調合した化粧水

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