ハーブの定義とは
ハーブもスパイスも同じように取り扱われる現代ですが、実際のところ、『ハーブの定義』とは何でしょうか?
植物学者から見た『ハーブの定義』
ハーブの定義、簡潔に言えば『維管束植物』です。
『植物学者』によるとハーブは木本性の茎がない植物で、前述した維管束植物であり、花が咲いた後に枯れたり萎れる一年草(または二年)植物、草本植物と定義しています。
維管束とは、水分、養分、ミネラル、光合成産物の通路であり、木部と師部から構成されます。
- 木部(導管):水と無機塩類を根から地上部へ運ぶ役割
- 師部(篩管):光合成産物(主に糖類)を葉から他の部分へ運ぶ役割
このように、維管束植物は根、茎、葉などに分化しており、これによって植物全体に必要な物質を効率的に移動させることができます。この作用により各種のハーブが成長し葉や花、実をつけるのです。
ハーブは主に植物の葉の部分を使用します。それに加え、茎や花、実も使われることがあります。
ハーバリストから見た『ハーブの定義』
一方、『ハーバリスト』によるとハーブの定義とは、風味付けや香り付けとして、また薬草として使える植物としています。
また、薬草や香草で健康に有効な成分が含まれるものとも言われています。
古代から愛され、研究されてきたハーブの定義は各分野の視点により見解が違うのが興味深いですね。
ハーブの2大系統
植物学的に食用ハーブは2~3の科に分類されます。
その中でも有名なのがハーブ2大系統と呼ばれる『シソ科植物』と『セリ科植物』になります。
シソ科
ハーブの系統では、シソ科植物は最も重要と言われ、250属以上、7000種近くの植物があります。この中で、一般的にハーブと言われる植物の25%以上がシソ科に属しています。
シソ科植物は葉の裏や茎、花に精油腺ができる特徴があります。そのため、葉をこすったり触れたりすると、精油が放出されます。
また、この香りによって、口に含んだ時にさっぱりとした風味を楽しむことができます。
主なシソ科のハーブ
- レモンバーム
- バジル
- ペパーミント・スペアミント
- オレガノ
- セージ
- ローズマリー
セリ科
セリ科の植物は一般に羽状複葉(切れ込みの入った複数の小葉から成る葉)を持ちます。葉は通常、長い葉柄があり、小葉は細かい切れ込みが入っています。
また、シソ科同様にディルやパセリのようなのセリ科植物にも、葉や実に精油腺があり、風味や香りを放出します。
主なセリ科のハーブ
- ディル
- パセリ
- フェンネル(ウイキョウ)
- アンゼリカ(アンジェリカ)
- スウィートシスリー
- クミン*
*クミンは種子がスパイスとして使われるセリ科の植物
ハーブは維管束植物であり、葉、茎、花などを使用。
ハーブの多くは温暖な気候で育ち、日常の料理や薬用に使用されています。
また、ハーブの部分によりスパイスとして使われることがあります。